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≪経営随想集≫
 輝かしい明日を迎えるために         今日の1日 困難な坂道を行こう
平らかな易き道は滅びの道へ通じ  いばら多き坂道は栄光の明日へと続く
弱き自分を励まし 眠れる大いなる力を信じよう
そしていつの日か栄光の日輪の中で静かに成功の喜びを分かち合おうではないか
自 戒 共 憂 録    
 ここに掲載したものは、顧問先に毎月配布しているSekine Office News の巻頭言として 『自らを戒め顧問先事業主の悩み・憂いを共にしたい』 という気持から緊急連載していた事業主への励ましのメッセージの再録です。

初心忘るべからず    
 この頃、思うこと。「初心忘るべからず」。能の完成者、世阿弥の言葉です。確かに景気は想像以上に悪い。しかし、嘆いてばかりいても仕方ありません。今一度、燃えるような情熱で独立した創業の頃を思い出しましょう。誰もがどんな困難にも負けぬ気持ちでスタートした時のことを。夢以外何もなかったあの頃を。この仕事に自分の人生と家族の幸せを賭けて必死で努力したことを。確かに時は移り、時代は変わりました。でも、あの頃の初心に帰り真剣に努力すれば必ずや道は開ける。そう信じて今できることは何なのかを考え、できることから実行しましょう。必ず少しずつ効果はでます。効果が出ないときはくじけずに次の方策を考えましょう。大事なことは効果が出ないからといってあきらめないことです。こうしたたゆまぬ日々の努力がこの困難な時代を乗り切る方策の第1歩だと考えます。そのためのヒントに少しでもなればこれに過ぎる喜びはありません。

現状打開のエネルギー 
 親鸞の言葉に「地獄は一定住みかぞかし」。地獄とはかの地ではなく今日只今この場所にある。そう覚悟を決めればささやかな人情、風のそよぎ、名も知れぬ小さな花々にさえ喜びを感ずる。地獄の中にこそまさに極楽はある。経営も困難を常と覚悟を決めれば見えてくるものがあるのではないか。思えばいかなる困難な時代にも閉塞状況を打ち破る経営者はいる。その根源的パワーはどこから?社会的貢献。お金儲け。挑戦。事業欲。心底信じ切れればそれはそれでよい。しかし、凡人たる我らが苦境にある時、自らを根底から支えるものはもしかしたら「なにくそっこんなことで」という「不屈の闘志」かもしれない。ライバル社にだけは負けたくない。忘れられぬ屈辱の思い出。苦しかった日々等々。裸の人間のこうした深層心理からくる熱い情念が活路を開く強烈なエネルギーとなることがあるのではないか。今、まさに不撓不屈の人間力が試されている。

無敵の重度障害者社長
 進行性筋萎縮症。現代医学では治療法の無い、ついには心筋が麻痺し死に至る難病。今や、首のみがわずかに左右に動くだけで全身が麻痺し、衣食住の全てを人に頼らなければ生きていけない。介護用品開発会社社長、44歳。しかし、この社長車椅子に乗り、驚くべき有能な経営者として無敵の活躍をする。障害者の視点から新製品を開発し特許を取り、海外に年100回以上も自ら商談に行く。特殊装置でパソコンを操作し、海水浴でも沖でマットに首を乗せさらりと浮かぶ。依頼があればどこでも講演に行く。何より気力充実、意欲満々。会社業績も順調。翻ってわが身を見れば、頭髪が不自由?以外とりあえずは五体満足。しかし、気力も時代を読む先見性も行動力も信念も発想も生きる意味の自覚も我が身の足らざるを思い知るばかり。せめては自分らしく二度とは来ない今日一日を悔いの無いよう生きてみよう。今、経営者の必須能力は何なのかを考えながら。

タイタニツク号の悲劇
 海難史上最大の犠牲者を出したタイタニツク号の悲劇は映画さらにはビデオでも記録的大ヒツトとなったのは記憶に新しい。原因は氷山への衝突という。しかし、現在ではそれ以外にいくつかの原因が判明している。実際は脆かった最新鋭の鉄板。耐水構造への過信。救命ボートの絶対的な不足。さらには夜間にもかかわらず逆に速力を上げたこと。しかし、もっとも致命的と思えるのは6時間も前に受けていたという氷山情報の軽視である。歴史に「if」はありえないが、しかし、「もし氷山情報にもっと注意を払い適切に対処していたら」あの悲劇は避けられただろうといわれている。このことにはよくよく思いをいたす必要があると思う。悲しいかな人間は眼前の情報や現象の真に意味するところがなかなか見えないのも事実である。しかし、経営の悲劇を招かぬよう情報や現象が経営にどんな影響を与えるのかを見抜く力を養いたいと思うのである。

変化への対応力 
 時代が音を立てて変化している。歴史ある大企業・銀行が消えていく。こんな時代に創業9年間で売上高を100倍(216億)にした企業があるという。後発のカー用品販売企業。その秘密を会長は「過去を見ても未来は読めない。東大出の人がたくさんいて、歴史も財産もある大企業が赤字転落したりリストラに狂奔しているのはその証し。未来はどうなるか分からないからまずやってみるんです。間違ったと思ったらすぐ変えればいい。今はスピードが第一。変化への対応が遅れれば致命的。」 変化への対応の速さの重要性はGE社の会長もビルゲイツも同趣旨のことを言っている。もちろん闇雲にやりさえすればいいということではない。目標と戦略は重要だ。柔軟な組織も欠かせない。少数精鋭のための社員教育もまたしかり。この難しい時代をどう舵取りするか。21世紀に生き残るために私達経営者に残された時間はそう長くはない。

私は経営の教科書など信じません 
 日産自動車の再建に挑むカルロス・ゴーンの言葉。彼はいつも苦境を逆にチャンスに変えて成功してきたという。まさしく『ピンチはチャンス』の体現者である。彼は『コストカッター』の異名どおり今回も猛烈な再建策を打ち出した。実は日産内部でも病根がどこにあるのかを感じていた人は少なくなかったという。しかし、@縦割り意識からくる組織の硬直化 Aトヨタへの過剰な対抗意識のため厳しい現実を直視できず、無理な車種ラインナップと生産台数を維持し B在庫をさばくため大幅な値引販売で逆にイメージダウンの悪循環。こうしたことが抜本的な改革を遅らせ、ついには事実上外資の軍門に下る結果を招いたのである。彼はしかし単なるコスト削減主義者ではない。個人主義の強いフランスではチームワークを強調したが、日産では逆に明確な個人の責任を強調していくという。『私は経営の教科書など信じません。大切なのは皆の意見に耳を傾けること。何が社員を動かしているのか。何が阻害しているのかを知ること。』こうした定型主義にとらわれない柔軟な思考力と大胆な冷酷とも見える実行力。同時に人間への関心と深い洞察力。それにしても日産が自ら改革できなかったことは日本経営力の敗退の一典型として誠に残念というしかない。また、リストラされる21000人のことを思うと心が痛む。日産経営陣の責任は重いといわざるを得ない。しかし、ビジネスが敗北すれば路頭に迷う意味での経済戦争であってみれば誠に残念ながら彼に学ぶことは多いと思うのである。

ミレニアムの風
 ミレニアム(千年紀)の新年が明けた。心配された2000年問題も大きな問題は起きず安堵の胸をなでおろした人も多かったに違いない。しかし、前年までの銀行の大型合併に象徴される企業再編の荒波、生き残りへのなりふりかまわぬリストラの嵐等の時代の激動はこれから本番を迎えるのだ。これからの5年間はおそらく今までの数十年に匹敵する激変の時代となることだろう。新時代の烈風は激しく疲弊した過去の遺物を根こそぎなぎ倒すだろう。経験則に頼るやり方はもう通用しない。他の企業に倣えばとりあえず済んだ時代はもう終った。大企業だから安泰などという悪しき幻影も消え去るだろう。柔軟で過去にとらわれぬ豊かな感性と戦略的知性のない企業は遠からず淘汰される。あふれる情報の中から真に必要な情報を選択し分析すること。そしてそこに流れる新時代の風を確かに感じ独自の戦略でビジネスに生かせる者のみが生き残れるのだ。もとより虚心坦懐に時代を見ること、そこに吹く新時代の風を錆びついた脳細胞に感じることはたやすいことではない。しかし、不断の努力で怠惰な自分と戦い140億の脳細胞を活性化させ渾身の力でチャレンジすること。これなくして才薄き我ら経営者が新時代に飛躍することは難しいことだけは確かなことと思うのだ。「絶対に負けない」。年頭に際しこの決意も新たにミレニアムの風に乗り共に大きく羽ばたこうではないか。
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